2008年1月

ハッケ、ヨーイ。(篆刻:発気)

発気

小学生の頃、教室で好きなお相撲さんは誰か、という話になった。
校庭で相撲はとって遊んだけれど、特に好きではなかったし、別にヒイキも
いなかったから、黙って聞いていたのだが。帰って新聞を見て、勝ち星が
ほどほどにきれいに並んでいる力士を探した。次の日、またその話になって、
「ボクは、松登が好きだな」と言ったら、皆にケゲンな顔をされた。

駄菓子屋の当てもので、力士の写真が新聞紙の袋に入ってぶら下がっていた。
袋から出てきたのが松登だったが、シワだらけのガマ蛙じゃないか、と
がっかりやら、恥ずかしいやら。調べれば、昭和29~30年に関脇とあるから、
まあまあの実力だったのだろうけれど。大相撲初場所にちなんで、テレビの
なかった時代の笑い話。ついでに、篆刻は、今年の年賀状に使った「発気」。

行司の「ハッケヨーイ!」は、この「発気、良い」。畑の堂々たる山芋に感動して、
その写真と「大地の力だ。どすこい、どすこい。」のコピーを添えた。といって、
相撲が好きになった訳ではなく、最近のモンゴル相撲にも興味はないけれど、
私の相撲はそこそこ強い。ここに越してすぐ、大柳生の祭りの相撲では、刑務所の
看守などセミプロもいたが健闘よろしく小結になった。・・・まずい長芋のような蛇足。

ちょっと、安心。(篆刻:安心)

安心

  大寒の証しにせむと白き朝
下手な俳句もどきだから、解説がいる。昨夜、テレビで金子光晴の番組を
見終わってから、やっと窓の外が白いのに気がついた。そういえば、テレビも
名阪や第二阪奈道路が通行止め、と伝えていた。で、大寒の今朝は、銀世界。
いくら季節が変と言われたって、ここまで律儀にせんでも、という感想。

だが、昼前にはポストへ下りる坂の雪は、もう消えている。ポストの中には、
  新しき落款をもて書き始め 
味な墨文字の句に私の篆刻がおされたはがきがあった。以前少しお手伝いした
会社の広報の方が定年になって、慰労の会に私も混ぜていただくことになった。
ただ混ぜていただくのも恐縮と、俳号の印をお贈りしたのだったのだが。

ご注文の俳号であれば、色紙か短冊かと、お好みの大きさを聞くけれど、
この際は勝手に6分角の石を選んで、出来は約15ミリ四方に。それが、はがきの
中にいい納まり具合だったので、やっとひと安心。調子に乗って、駄句をひねった
という次第。篆刻は、ずいぶん前の「安心」だが。こんな篆刻を彫った昔の自分、
それを引っ張りだした自分。どちらにも心安らかでない自分。大いに寒い。

顔は、温かいか。(篆刻:温顔)

温顔

去年の11月、『喜楽』という奈良のフリーマガジンの取材があった。
編集長のYさんは三游会に来てくださり2回目だが、カメラマンは初対面。
挨拶もそこそこに、いきなり庭での撮影。さて、どんな顔をしたらいいのやら。
その刷り上りが、きのうどっさりと宅配便で届いた。開いて、見て、驚いた。
目次の次の巻頭記事の、最初のページにどーんと私がのっている。

「ええっ、もう少しマシな写真はなかったのかなぁ」と思ったのだが。
カミサンは「いいのを選んでくれたじゃない」と言う。これでも、実物に比べたら、
ずいぶんいいんだって。まあ、それでも記事にしてくれること自体が
ありがたいことだから、恥をしのんでホームページに載せさせていただいたが。
篆刻の「温顔」、ほっこりと温かい顔つき、というには、程遠い。

つい先日も、「ブログの写真は、ずいぶん前のものですね」と言われた。
2年半ほど前の写真で、カメラは気心の知れた編集ウーマン山下遊未ちゃん。
アホを言いながら何枚も撮って、ワイワイ言いながら皆で選んだのだけれど。
それにしても『喜楽』の写真は、目に力が無い。心が笑っていない。
それは、カメラマンの違いではない。私自身の大問題。

温泉で、笑う。(篆刻:笑)

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3連休の真ん中の13日は、楽篆堂の新年会。といっても私とカミサンふたり、
車で30分ほどの温泉に行って、昼めしを食べただけだが。11月半ばの三游会で
注文をいただいた個人印が20点近く。45ミリ角から、縦13ミリの自然石まで、
ひとつひとつに袋を作るカミサンもひと仕事。年明けでも、という後半の方々の
為書に文香を添えて、郵送の準備が終わったので、お疲れさまの温泉となった。

ほとんどは個人のお名前だが、書の落款にという方が3人おいでだった。
お経に捺すお寺の名、蓮の花が好きなので「蓮」一文字、というご注文も。
「笑」の一文字を希望されたIさんは、出来れば早くというご希望だったので、
去年お送りしたのが、この印。すでにホームページでもご紹介済みだが、
ご丁寧にお礼のファックスを下さって、なぜ「笑」の印なのかが、解けた。

『長年働き続けて、定年になって、ホッとしたら"笑"えなくなりました。
私にとって"出会い"は宝物です。またひとつ宝物が増えました。
心をやわらげることを信じて使います。本当にありがとうございます。』
その人が生きていくための拠りどころになる言葉がある。その言葉を
印という形にする。それを喜んでいただける。それは、温泉のように心地よい。

客を、見よ。(篆刻:正見)

正見

きのう、新年早々腹が立ったけれど、1日置いて頭を冷やして、きょう書く。
銀行口座に入金したかった。それだけで往復1時間の奈良駅前までは、馬鹿らしい。
そこで銀行に電話した。「法人カードだが、郵便局のATMから入金できるか」と。
答えは「出来る」。しかし、郵便局のATMでは「取扱いできません」と拒否された。
郵便局の窓口では、「有効期限が切れているか、磁気が弱っているか」という返事。

携帯で、再び銀行に聞けば「キャッシュカードに期限切れはない。農協があれば、
そこで試してくれ」という。しかし、農協のATMも「取扱いできません」と拒否。
結局、カードがおかしいのでは、と銀行まで出かけた。ご相談コーナーで、相手は
女子行員から係長風、さらに支店長代理風に変わる。1時間以上もかかって
分ったのは、「法人カードは、この銀行のATMでしか使えない」ということ。

「この銀行でしか使えないと、この通帳、この銀行、提携する郵便局、農協の
どこに書いてあるのですか」。すると支店長代理風は、生命保険の約款のような
「預金等規定集」を持ってくる。「法人カード」の項に「当行のATMで使用できます」
とある。「腐った豆腐を食べて、腐った豆腐のような味」という「ちりとてちん」の世界。
篆刻は、旧作「正見」だが新旧など構わない。銀行よ、客を見よ。正しく見よ。

縦か、横か。(篆刻:タテかヨコ)

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「さんざんCMのお世話になったくせに」とカミサンには言われるが、
もう、どうにもこうにもテレビのCMが耐えられない。人に何かを伝えようとして、
何かを言いかけて、しかも話が佳境に入ったところで、突然、その話と関係のない
セールスをし始める、なんていうことが、人の世で許されるのだろうか。
日本が変になった一因は、家庭の茶の間で50年以上続いた破廉恥さ、だよね。

という枕で、本題は今朝から再開されたNHKの朝ドラ『ちりとてちん』の話。
前回の東京制作の『どんど晴れ』が、大阪制作のこれに変わって、ほっとした。
どうも、横浜生まれのくせに、関東的感覚が肌に合わなくなっているようだ。
それに、主人公を演ずる貫地谷しほりが、昔、私の会社でデザインをしてくれた
女の子によく似ていて、毎朝、カミサンとほっこりした気持ちになれるのだ。

篆刻は、その子が岐阜の実家に帰る時にプレゼントした「タテかヨコ」。
本名は、楯佳代子なのだが、校長先生のお父さんも、この名前が「縦か横」に
なるのを後で気が付いたというから、まさに『ちりとてちん』の世界。
ポヨヨ?ンとしたイラストを描いていたが、今年の年賀状は、まだ来ていない。
おーい、楯佳代子は、いま縦か横か。ひょっとしたら、斜めなのかな。

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