2013年5月

篆刻か、CIか。(篆刻:紅橋)

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この篆刻は、中国ビジネスを支援する紅橋株式会社の依頼で制作したもの。紅橋の
二文字は篆書体だが、日中の架け橋になりたいという想いをお聞きしたので、橋の
モチーフを加味した。はじめから名刺やホームページにも使いたいとのご希望だったし、
篆刻を気に入って、会社やお店のロゴタイプ的に使用範囲を拡大していただくのは、
作者としてうれしいことだ。楽篆堂への篆刻依頼で、こんな例がだんだん増えてきた
のもありがたい。しかし、これはあくまでも篆刻であってマークやロゴではないのです。

篆刻は文字をデザインして石に彫ることなのだが、そのデザインに文字の意味以上の
何か、例えば会社の理念などを加味してほしいとなると、それはもう篆刻でなくなって、
コーポレート・アイデンティティ=CIになってしまう。お手軽にwikiから引用すると「CI
とは企業文化の特性や独自性を統一されたイメージやデザイン、またわかりやすい
メッセージで発信し社会と共有することで存在価値を高めていく企業戦略のひとつ」で、
それを視覚化、シンボル化したものがマークやロゴ。しかも、そのデザインはCIという
運動の最終作業で、経営者だけでなく社員ひとり一人の想いを聞き取り、整理し、集約
するという膨大な作業から始まる。そのためには時間もコストもかかる大仕事です。

CIは広告企画制作のハイエスト・ハイ、篆刻はその篆刻部門・楽篆堂のお仕事です。

ラファエロの、版画。(篆刻:版)

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美術の素人で出不精の私にとって、NHKの日曜美術館は実に都合のいい番組だ。
この前はラファエロ。ルネサンスの3大巨匠だが、私が好きなのはダ・ヴィンチで、
次がミケランジェロ、ラファエロはそれほど好きではない。しかし37歳という若さで
亡くなるまでにぼう大な作品を残したし、それが工房というシステムから生まれたと
いうことには驚かされる。しかも、この時代の絵画は教会や貴族の誰かからの指名に
よる受注制作だったが、彼は絵画やドローイングを版画というメディアにしてローマ
以外の一般の人々に広めたのだという。これは美術史上の画期的功績とされている。

この4月に、大津の鮟鱇屈・水野恵先生から「とくとくの消息」を送っていただいた。
教室の生徒さんなどへの巻紙状の刷り物だが、几帳面な文字で宛名を書いてくだ
さっただけでも有り難い。そこに「近頃は、篆刻個展と称する会場で、印影を不特定
多数の人に売ってるのを見かけます。印章は古今東西唯一の印顆であって、その
使用は本人にしか許されんもんどす。それを一つの印顆から複数の印影を採って
誰彼無しに売るちゅうのは印章の否定であり、右の定義からの逸脱どす。」とあった。

水野先生には去年10月に私の「印影を売っている個展」にお越しいただいたから、
さしずめ私は張本人なのでコメントを差し控えるが、さて皆さんはどうお考えだろうか。

金魚を、見る。(篆刻:金)

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ホームセンターで買ったモルタルを車に積もうとしていたら、初老の男性に「モルタルと
コンクリートはどう違うんですか」と聞かれた。「モルタルはセメントと砂。コンクリートは
セメントと砂利と砂」とお答えしたが。この連休後半は、金魚を入れている溜め池の
モルタル塗りに汗をかいた。元は山水をタンクに貯めて、オーバーフローした水をここに
落としていて、その山水は飲料でもあったそうだ。ここに引越した時は簡易水道だった
から、もっぱら金魚専用なのだが、この冬からいくら水を入れても15センチほどに減る。

抜本的に底と四隅を3センチほど塗ることにして、まず金魚を出して大掃除をしたが、
15センチもあった大きな金魚の影も形もない。それでも去年生まれたらしい小さなのが
5匹いたのでほっとした。底は上手に塗れたのだが、型枠を作って流し込んだ分で
水が足りなかったらしい。枠を外したら穴だらけ。この段階で、隣の元左官屋Oさんが
見るに見かねて本格参戦。穴を埋め、全体に粗塗りをして、さらに鏡のようにツルツル
に仕上げてくれた。最後はセメントのアク抜きで、水を溜めて焼ミョウバンを1キロ投入。

水を入れ替えたら夜の間にサワガニが入っていたから、もう大丈夫と、金魚を戻した。
130×80で深さ50センチ、そこに小さな金魚5匹は贅沢だが、天井の高い家は天才
を育てるという。ただただ泳ぐばかりの金魚を見るのはいいものだ。無心になれる。

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