2013年6月

「うめきた」へ、行った。(篆刻:北)

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4月26日にグランドオープンしたグランフロント大阪は、JR大阪駅北の再開発区域
「うめきた」の先行開発エリア。オープン間もない頃に、行く機会があった。オフィスと
商業施設のある北館・南館とホテル棟、マンション棟からなる4つの高層ビル群で、
その北館にあるナレッジキャピタルは、「世界の感性、技術を持ち寄り、交わり、コラボ
レーションして新たな価値を生み出す」がコンセプトの知的創造拠点。ここにオフィスを
構えた友人に誘われて案内してもらったのだが。待合せ1時間ほど前に着いたから
ショッピングモールなど見て歩けばいいものを、私はタバコが喫えるコーヒーショップに
入って本を読んでいた。それは『植物のあっぱれな生き方』(田中修、幻冬舎新書)。

芽が出る条件が整わなければハスやエンドウの種は2千年3千年もチャンスを待つ。
花は雄しべ雌しべで自家交配もできるが、危険な近親婚を避ける知恵を持っている。
植物は動物に食べられるのが宿命だが、食べられた茎の下の側芽が頂芽となって
伸び続けることができる、などなど。植物が生を全うするための知恵や仕組みには
ただただ驚くばかり。やはり神の仕業かと思いつつ、天に伸びる高層ビルを見れば
人間の打算が積み重なった楼閣のようで、何やらうすら寒い。北の文字は人が背を
向ける形だが、ビルに背を向けて足元の草に感動する私は、もう仙人の仲間入りか。

様って、何様?(篆刻:樣)

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今朝、新聞を読みながらテレビをちらちら見ていたら、「様」という漢字は相手によって
使い分けなければいけないという話で、目を皿にした。右の羊の下が水は目下に使い、
目上には永であり、同格には次なのだという。「こういうことはどんどん啓蒙しなければ」
というコメントまで加えられた。無学の篆刻作家で勉強嫌いの広告文案家ではあるが、
そんなことは初耳だ。早速、白川静先生に聞いてみなくちゃ、と『字統』を調べたら・・・

「様」の旧字が「樣」で、篆書体も「樣」になっている。国語では敬称の「さま」、ともある。
もちろん『字通』も同じ。『大漢語林』(大修館書店刊)でも、ほぼ同様。だが「次」の字は
どれにもない。そこで学生用の『漢和辞典』(旺文社刊)を見たら、やっとここに「次」が
異体俗字として載っていた。はてさて、こんな使い分けはマナー教室か習字の先生が
言っているのだろうが。篆刻教室の原稿づくりで墨と朱墨を使わせる、物事をわざと
ややこしくして教えることと同類ではないか。今朝の日経には宝島社の「大人のペン
習字帳」や呉竹の「水で何度も書ける文字練習セット」が売れている記事があった。
文字を書く機会が減って、上手に文字が書けない悩みを持つ人が増えたかららしい。

日本の国語政策には多くの誤りがあるし、常用漢字に問題も多いのだが、旧字俗字
まで引っぱり出して訳知り顔で人に誤ったことを教える、そういうあなたは何様ですか? 

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