2010年9月

洗う、熊。(篆刻:洗)

洗
いまの銀座はよく知らないが、私が20代の頃は、まだお洒落な店が多かった。
洋品店のウインドウに、洗い熊の縞のシッポが付いた、あのデビー・クロケットの
帽子を見つけて衝動買いした。2万5千円くらいの記憶があるから、若気の至り。

逗子にいた7、8年前、鎌倉でアライグマが野生化して周辺に被害が出ていると
聞いた。「まあ、都会の人は後先も考えずに、何でもペットにするものだ」と他人事
だったが、それが奈良の山の中まで追いかけてくるとは思わなかった。雑食で
繁殖力も旺盛だから、タヌキが駆逐されたとも聞く。被害は農作物にとどまらず、
人家の屋根裏に住み着いて、子を産む、糞をする。浄瑠璃寺の国宝三重の塔も
傷つけられた。視力が弱く水に手を入れて獲物をあさるので洗い熊といわれるが、
毒のあるイモリ、カエルなどは洗うこともするらしい。現に、我が家の猫の餌を
食べに入って来て、目が合ったこともある。アニメの「ラスカル」そのものだった。

笠置に近いSさんから、また檻にかかったと聞いて、カメラを持って見に行った。
まだ子どもで猫のように丸くなっていたが、カメラを近づけると唸って飛びかかる。
檻には市の農林課の札がある。猟友会が取りに来て、川に沈めて殺すらしい。
致し方ないがむごい。せめて帽子にしてやれば、とも思うが温暖化で暑苦しいか。

煙草、やめる?(篆刻:煙)

煙
こんな形で日本の総理大臣が決まるのかと憤懣やる方ないが、私が吠えなくても
民主党をのぞく日本人すべてが思っているだろうから、それについては語らない。

憤懣やる方ないといえば、煙草の値上げもある。嫌煙の嵐吹きすさぶ中、私の吸う
煙草は110円の値上げ。税金は70円上がるが、喫煙者も減るから110円という
勝手な理屈。そんなに喫煙者を目の敵にするなら、有害だからと麻薬扱いにすれば
いいではないか。いっそ抗議で煙草をやめようと思っていたところに、本が届いた。

馬場啓一氏の『喫煙道宣言』山愛書院刊。彼は伊丹十三『ヨーロッパ退屈日記』が
座右の書で、日本シガー愛好家協会の初代会長だったから、喫煙の正しい方法と
技術にまつわる薀蓄は舌を巻くほどだが。行間には静かな怒りがあふれ出ている。

深代徹郎という方の言葉がある。要約すれば「なぜ人はときに極端な思考行動をし、
自分の意見に固執するのか。人という複雑な動物をもっと理解する必要がある。
"清狂(清廉ゆえの狂)"も困ったもの。人は健康志向のみでは人でなくなるのでは
ないか。人はある程度の迷惑をお互いに及ぼし、許容し、理解しながら生きていく
ものである。そうである限り、喫煙が人の歴史から消え去るとは考えられない。」

まったくもって同感。嫌煙原理主義への抗議のために、煙草はやめないことにした。

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