2010年11月

葉篆光な、篆刻。(写真:《葉篆光》花鳥風月)

花鳥風月
おかげさまで、野の花と遊ぶ花の会との共同展、第12回「三游会」が、3日間で
千人近くの方々にご覧いただいて、無事終了。篆刻の楽篆堂は印泥が気温に
左右されるくらいで苦労もなかったが、野の花の方は、異常気象で花の当てが
外れたり、予想もしなかった実がたわわになっていて大感激したり、だったようだ。

中日の夜、大阪から来てくれた友人の「喜の字」氏と餅飯殿町の樹樹で飲んだ。
箸置きの見事な紅葉の桜の葉を見て、ふと「これに文字を入れたら、面白いなァ」
と思いつき、喜の字氏も樹樹の夕記さんも面白いと賛同してくれたが、酔っての
アイデアにまともなものがないのは、誰しも経験済み。しかし、今回ばかりは違う。
もらってきた葉に「鳥」の篆書体をカッターで切ってみたら・・・ これは、いける!

翌朝、庭の葉を摘んで、30分ほどでつくった。花はアジサイ、鳥はトチ、風はカジ、
そして月はハゼの葉に。アクリルにはさんで、30分遅れで会場に着いて、最終日に
お越しの方にはお披露目できた。紅葉した木の葉は陽光にかざすときれいだから、
「葉篆光(はてんこう)」と名付けた。篆刻から、着彩した「篆彩」、そして「素篆de
(ステンド)グラス」、さらに「葉篆光」へ。楽篆堂の篆刻は、もっと破天荒になるぞ!

水、漏れる。(篆刻:漏)

漏
水道局が水道メーターの外から漏水しているので、モルタルを割って、管を付け
替えたいと言って来た。メーターのふたを開けてみたら、確かにかなりの水が
噴出している。そういえば最近、風呂の水が貯まるのが遅く感じていたのだが。

聞けば、水道メーターの外と内の50センチほどは昔から鉛管が使われてきた。
プラスチックの無い時代に自在に曲がる鉛の管は重宝だったが、プラスチックが
出ても、平成までそのまま使い続けられた。その後、鉛の害が叫ばれてからは、
我が家でも朝一番の水は飲まず、バケツ一杯分を捨てていたのだが。その鉛が
老朽化して破れていたのだ。メーターの内側も遠からず破れるだろう、というので
材料実費で交換してもらった。以前の水圧が戻ったのは、よろこぶべきなのだが。
ほぼ全家庭に使われている鉛管が、早晩破れて漏水することが分かりながらも、
全部の交換まではしない。破れて漏れたら直していく、対症療法を続けるらしい。

本来もれるの漢字は、屋根と雨の「屚」で、漏は日本でも天智天皇が作った当時の
最先端技術・水時計のこと。最先端が瞬く間に老朽化する現代にあって、誰もが
変えないといけないと分かっていながら、変えられないことが多すぎる。公安情報の
流出に続いて尖閣事件の画像流出。日本全体が、もう古い鉛管状態になっている。

屈して、伸びるか?(篆刻:屈屈伸)

屈屈伸
日経朝刊「私の履歴書」、今月は三菱重工業相談役の西岡喬氏。彼が大学を
卒業したのは昭和34年で、大学の先生が顧問を務めている新三菱重工業を
道すがら訪ねたら、先生はその場で人事部長を呼び、就職内定したのだという。

私の大学卒業は10年後。久保田宣伝研究所(現・宣伝会議)のコピーライター
講座で講師だった大学の広告研究会の先輩、金内一郎さんに挨拶したら、お茶を
ご馳走になった。数日後、「うちの会社(エージー)に来ませんか」と電話があった。
喫茶店での雑談が事実上の面接試験。筆記試験は無く、履歴書も出していない。

すべてが右肩上がりの時代だったと思っていたが、実際はそうではなかったらしい。
昨夜のNHKスペシャルでは、現在日本の借金862兆円、国民一人当たり700万円。
麻薬のような赤字国債は、昭和40年に始まっていた。バブル崩壊後の就職氷河期
再来で、2010年の大卒の就職率は6割程度だという。NHKは歴代の大蔵官僚の
退職後の「口述資料」をもとにインタビューしていたが、途中で日本シリーズに変えた。

官僚だけが悪いのではなく、私をふくむ国民がそれを許してしまったやりきれなさで、
野球というドラマに逃避した。篆刻は、19日からの三游会出品のひとつ。無頼の棋士
藤沢秀行の言葉「屈屈伸」。日本が屈して屈して、その後に伸びる可能性はあるか。

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