2011年8月

人を、選ぶ。(篆刻:選)

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私は嵐の桜井翔のどこがいいのかまったく理解できない。世間の評判はイケメン、
知性派で、総理にしたい芸能人で1位になったこともあるらしいが、私の感覚では
貧相そのもの。ちなみに、その時島田伸介は4位。世間なんて、そんなものかな。

芸能人なんかどうでもいいが、日本の総理であればそうはいかない。私は代表選の
TV中継を、土間の上りガマチの下で猫がフンをするので、入れないようにする網を
張りながら聞いた。この代表選などはその程度のものだ。自らの党首を辞めさせる
ための三党合意、それを見直すと公言した海江田が1回目でトップになるとは何と
卑劣な集団か。さすがにそれでは国会運営が立ち行かないと、かろうじて逆転したが。

「選」の巽(そん)は、神前の舞台でふたり並んで舞楽すること。それから選ぶ、優れる
の意になったが、あの壇上の5人で神に恥じることのない人間はいたのか。全員が
迷走を続けた内閣の現・元閣僚ではないか。国政選挙ですら、その時の風やムードで
決まる。芸能人の人気と変わるところがない。そうして選ばれた国会議員からでしか
日本の総理は選べない。それがもどかしい、情けない。そのシステムを、もうここらで
根元から変えないと、日本の漂流は止まらない。新総理は「ドジョウの政治」と言うが
たとえが悪すぎる。まさか追詰められたら穴に逃げ込むという予告じゃないだろうね。

無印は、良品か。(篆刻:良)

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奈良市内に映画館はひとつも無いが、「無印良品」はある。文化果てる一歩手前で
踏みとどまっている。無印良品は田中一光氏のアートディレクションは言うまでもなく、
その企業姿勢や商品開発においても、長い間私の敬愛するブランドだったのだが。

今年1月、無垢のブナ材をくり抜いた小さな置時計を無印で買った。しかし、6月に
止まって、新しい電池を入れても動かない。修理に出したら、新品と交換になった。
それがまた、8月半ばに止まった。すぐ店にもって行って、やっと一昨日電話がきた。
「中にゴミが入っていて、ゴミを取っても動かないので新品を送る」と言う。また昨日も
別の店員から同じ話の電話があってあきれていたら、先の店員から「同じ電話を
してしまい」と謝りの電話があった。電話はもういいから、品物を送ってくれ。それと、
この商品は欠陥ではないのか、ちゃんと調べてくれと頼んだ。そして今日郵パックで
時計は届いたのだが、段ボールの中身は時計と説明書だけで、何の挨拶もない。

篆刻は「良」で、袋の上下に流し口がついた穀物を量るもの。穀物の良悪を見分ける
から良、善の意味になった。税込でたった2100円、中国製(輸入元はリズム時計)の
商品で騒ぐ気はないが、運悪く私だけが数万個に2個の貧乏クジに当たったのだと
思いたい。ブランド名の良の前に不がつかないことをファンの一人として願うばかりだ。

送る、火。(篆刻:火)

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京都・五山の送り火は、知人のマンションが大文字のほぼ正面にあるので、何回か
見せてもらった。亡くなった息子の戒名を護摩木に書いて燃やしもした。燃え上がる
大文字を見ながら、隣の人に息子さんのことを思い出すでしょと言われたこともある。
思い出さない訳はないけれど、あれは送り火であっても観光ショーの色の方が濃い。

岩手・陸前高田市の津波で倒された松を五山の送り火で燃やすのが中止になった。
保存会と市が放射線を計ってゼロだったのに。市が中止しないよう保存会に要請した
のに。保存会全員の賛成が得られなかったからだという。マスコミで伝えられたように、
松の板でさえも京都では一見さんお断りなのか、と嘆かわしい気になったのだが。

いやいやと思い直した。岩手の松を京都の送り火で使う意味は何だろう。発案した
人、松を割り、削り、呼びかけた人のご苦労には頭が下がるが、鎮魂の思いを書いた
松が、京都の五山の送り火で燃やされたら霊もよろこぶという考えは、何なのだろう。
多くの霊が、それを望み、よろこぶか。岩手に京都の名や、五山というブランドへの
憧れはないか。京都側に岩手の人がよろこぶだろう、というおごりはないか。私は、
結果的にその松が岩手で燃やされて良かったと思う。東北に、京都はさておいて
岩手は岩手という誇りがなければ、新しい道は拓けない。篆刻は、山にも似る火。

宿を、借りる。(篆刻:areman)


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早いもので、長男の遊が鈴鹿のバイクレースで亡くなってから、あと4ヶ月ほどで
丸12年になる。バイク仲間でいまだにレースを続けているのは、この前の8耐で
マシントラブル、周回不足で完走にならなかった濱口喜博くんなど数えるほどだが、
私の次男を含めて、バイクへの愛着を持ち続け関連の仕事をしている若者がいる。

与論島出身で、鈴鹿に近い四日市でバイクのマフラー製作をしている市久英くんも
そのひとり。先日、新しいブランドを立ち上げるためのマークとロゴの依頼があった。
ブランド名は「アーマン」で、与論島の方言でヤドカリのことだという。マフラーなどは
素人だから、形が貝のように渦状なのかと聞いたら、親会社に場所を借りているから
という答えで、何とも微笑ましい。一も二もなく引き受けて、ヤドカリのイラストを描き、
AREMANという英文ロゴも提案した。画像は、没になった方のロゴだが。イラストと
決まったロゴの組合せを詰めているところ。さすが南の島育ちの彼らしく、水平線を
デザイン・モチーフに加えたいとの希望が出て、ますます楽しい作業になってきた。

さて、ヤドカリだが。自分の成長に合わせて空の巻貝を探して、それを自分の住居に
する。自分に合った大きさかどうかは、ハサミで測るのだそうだ。人類も、地球上に
たまたま宿を借りるヤドカリに過ぎない。もっと謙虚にならなければ、本当に危ない。

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