2011年10月

怪しい、人間。(篆刻:怪)

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NHKの《歴史秘話・ヒストリア》で、明治の妖怪博士・井上円了を見た。現・東洋大学
の創設者で、妖怪や迷信を科学的に解明した痛快な学者。たとえば、数人で囲んだ
テーブルが誰かに憑いた霊によって動くという「コックリさん」は、人の潜在意識を
反映して、無意識の筋肉運動によって自分で動かす、一種の自己催眠と分析した。

大著『妖怪学』では妖怪を偽怪、誤怪、仮怪、真怪に分類する。手品やスプーン曲げ
は偽怪、ツチノコはヤマカガシだったというのは誤怪、蜃気楼や不知火などは仮怪。
真怪は科学でもなお解明しきれない事象で、自然界の森羅万象を指すというのだが。
その真怪の最たるものこそ、人間とその社会だと思わざるをえない。最近は、特に。

九州電力の社長は、第三者委員会にやらせ問題の調査を依頼し、その調査結果を
受け取りながら、政府への報告書では肝心の(自分たちに都合の悪い)部分を完全に
無視した。記者に追及されると、第三者委員会の委員長はもう委員長ではないから
だとか、見解の相違などなど、妖怪でさえ恥じて言えないようなことを平気でうそぶく。

経済界で最大の妖怪は電力会社。あらかじめ利益を確保して、原価を積上げ、料金が
決められるから、肥大するばかり。原発事故で、妖怪は息の根が止まるかと思いきや、
いくら補償が増えても倒産しない仕掛け。篆刻は、ゆがんだ心と手で土を汚す「怪」。

椿を、搾る。(篆刻:椿)

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藪椿に小さな卵ほどの実がついた。実は花付きに悪いので、集めて椿油搾りに
挑戦した。木の上で皮が割れて黒い実が見えるのは枝に触るとぱらぱら草の
中に落ちて見えなくなるから、皮つきを採って干す。乾燥して割れて実が簡単に
とれる。隣の空き地の木からもいいただいて、黒い実は1.2キロが集まった。

次は、搾り器を作る。桧の45センチの太い丸太に切り込みを入れ、上に1本、
下に2本の四角い鉄パイプを差し込む。下に、底に穴を開けた枡をまたがせる。
その上に車のジャッキを逆さに乗せてジャッキを伸ばすと上のパイプに当たって
枡の中の椿の搾りが始まるという計算。さて、その次は、搾る実の準備にかかる。

金槌で黒い殻をひとつずつ割る。割ったのが半分の600グラム。中の実はほぼ
渋皮つきで250グラム。これを鍋で焦げないようにかき回して炒る。実は皮つき
ピーナツのようになり、揉めば皮が取れる。次にフードプロセッサーで細かく砕く。
これを蒸して、やっと搾れる状態に。1回目の搾りで透明の黄金色が滴った時は
感動したが。再び蒸して2番搾りをやると水分で白濁する。これは弱火にかけると
透明になる。これをコーヒーフィルターでこす。そして出来上がった椿油は、60CC。

連休2日で搾った黄金の一滴。髪に塗るなどモッタイナイ。篆刻は実のような「椿」。

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