2012年3月

これで、安心。(篆刻:安心)

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アルミポスターフレームをご存じだろうか。シンプルなアルミ製の額縁。高級感は
ないが、写真やポスターなどを入れるには体裁がよい。生活必需品ではないが、
もし必要になった時は、ネット通販の「パネルデポ」をお勧めしたい。理由はある。

三游会に出品する篆刻は大きめの石に彫って、額装展示するのがメインなのだが。
額の中は白い紙に赤い印泥だけだから、ちょっと"色気"が欲しい。で、カラー写真と
赤い篆刻の組合わせを試みることにした。アルミフレームを検索して、適当に注文
した。さて、A3のプリントをフレームに入れるのに手間どった。フレームの四隅は
中の金具にビスで止めてある。その1辺をはずし、フィルムで写真を挟むのだが、
フィルムが静電気でホコリを吸う。こすれば余計にホコリが付くので、パソコン用の
エアーで表裏を吹き飛ばして。フレームを閉じようとビスをつまみ、「あァ面倒だ!」
と思った瞬間、ビスが落ちた。いくら探しても見つからない。フレームを恨んだ罰か。

こんなビス1本を買いにいく訳にもいかない。購入した「パネルデポ」に電話した。
着払いででもと頼んだのに「ビス1本ならメール便でお送りしますよ」と言ってくれた。
そして届いたのは、80円切手を貼った封筒に、ビス4本。篆刻は、三游会に出す
「安心」。ビス1本で安心したり、感激したりした私ですが。これっておかしいですか?

家の、希望。(篆刻:希望)

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いまにして思えば、あれがバブルそのものだったのだろう。20年以上前に億ション
ならぬ「億邸」という不動産の販促広告をやった。関西の主な高級住宅地に7つの
敷地を用意し、関西を代表する建築家7人を選び、自由に家を建ててもらう企画。
建築家全員に同じ質問をした。「あなたは、この家に住む人の住みやすさとあなたの
作品性のどちらを優先させますか?」 7人が迷わず、「作品性だ」と言い切った。

さて、伊東豊雄といえば建築門外漢の私でも知っている。「アルミの家」で注目され、
「ミキモト銀座」など前衛的な造形で話題作を連発している。東北の高台移転でも
思い切った構想を提案する番組を見たが。仙台市内のプレハブ仮設住宅の脇に
「みんなの家」と呼ぶ簡素な小屋を建てたという。和室は4畳半のみ。24畳ほどの
大部分が土間で、大きな木製テーブルと薪ストーブの回りに仮設の住民たちが集う。

才能や手柄を競うことをやめて、住民の声を聞いたら、民家のような建物が出来た。
仮設住宅はお役所仕事の典型で、前衛建築はその対極。その真ん中に、昔からある
"民家の心"が生まれたのは、大いによろこぶべきことだ。千年に1度という地震と
津波でやっと気付いたのかという憎まれ口は止めよう。いま何かが始まろうとして
いるのだから、と古民家に住みながら思う。篆刻は、三游会に出品予定の「希望」。

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