2013年9月

『風立ちぬ』、感想文。(篆刻:天上大風)

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「私は自由です。」 宮崎駿さんの長編アニメ引退会見の第一声だが、これ以上に
ふさわしい言葉は無かっただろう。アニメーターであるがために、絵を描きながらで
しか映画を作れない。その労力は並みや尋常ではないはず。でも、だからこそ木目
や雲にも圧倒的なマチエールが生まれ、ストーリーの説得力までも増幅させていた。

だが、私は全作品を見たわけではないから評論の資格はないが、最後の作となった
『風立ちぬ』には、正直がっかりした。実在人物をモデルにしたから無いものねだり
だろうが、これまでの宮崎作品の魅力だった壮大な文明史観、未来への洞察・示唆が
欠けていて、ラブロマンス×技術者の夢に終わっていた。美しい飛行機をつくる夢と
殺戮の道具・零戦設計の現実のはざまでの苦悩がほとんど見られない。肝心な所で
イタリア人飛行機設計家との夢の中の話になるが、私には逃げに見えた。「時代が
きしみながら変わるいま、これまでのようなメルヘンをつくる場合じゃない」という
想いには素直に賛同するが、残念ながら『風立ちぬ』はその答えになっていなかった。

「創造のピークは10年間」というセリフが自分の気力・体力の限界を思い知ったことの
暗示にも聞こえたが。とにもかくにも、心の底からの「お疲れさま、ありがとう」を言おう。
篆刻は映画にも出てきた良寛の書から「天上大風」。宮崎さんに敬意を込めて彫った。

蝮(マムシ)に、噛まれる。(篆刻:蝮)

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蝮(マムシ)に噛まれたのは、5日前の夜。といっても、噛まれたのは子猫のタイだ。
前に書いたが、天真爛漫、怖いもの知らずで、毎日遅くまで夜遊びする。その夜も
11時近くに猫穴から帰ってきたが、右手に小さな傷があった。ふつうに歩いて私の
ベッドに行き、シーツの上でふたつの傷から薄い血のしずくをたらした。まさか蝮に
噛まれたのではとネットで調べると。蝮の毒は溶血性なので薄い血がしたたるとある。
ただ犬猫が蝮で死ぬことは滅多にないとあるし、夜も遅いので様子を見ることにした。

翌日はさすがにシンドイようで夕方近くまでひたすら寝ていたが、エサを食べたし、水も
飲んだので回復したかと、外に出した。その夜はまた11時頃帰ってきたが。雨が止んで
いるのに、首の回りだけが濡れている。タオルで拭きながら顔を見れば、左下のまぶたの
毛のないところに、また小さな傷があった。首輪も無くなっている。また蝮にやられたか!

手の腫れはひいたが頬が腫れて、今度もひたすら寝続ける。3回続けて噛まれたら、と
2日間は窓も締めて外に出さずに養生させた。今日はやっと食欲も出たし、目ヂカラも
あるから外に出したが、しばらく遊んで戻ってきて、休む。まだまだ完治ではないのだが、
峠は越えたと思う。それにしても、猫に蝮の毒の抗体があるとしても、その生命力には
驚く。自分の体の危機に運動量を最小限にしながら、耐えて再起する能力に敬服する。

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