2016年3月

アライグマ、闖入す。(写真:爪痕)

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写真はアライグマの爪痕。家の外壁には何か所かあるが、これは家の中のもの。
母屋と離れの間の土間には庭に出る引き戸があるのだが、猫が出入りする穴を
開けている。私が寝る前にフタを締めるのだが、その夜はそろそろ締めようかと
思った頃、そこでゴトゴトと音がした。いちばん大きい(猫の)カモが入ったかと
行ったが、カモはいないのでフタを閉めて、母屋に行きかかったら、猫穴のあたりで
ガリガリという音。さてはアライグマを閉めこんでしまったかと思った時、胴の長さ
50センチもの大きなアライグマが足もとをすり抜け、母屋の座敷を駆けずり廻った。

どこにも出口がないので、また猫穴に戻って、ガリガリやる。追い込んで反撃され
たり、引っ掻かれたりしたら大怪我をするから、裏の戸を開けて逃げ道をつくった。
外の空気が入ったのを察知して飛び出ていき、爪痕の置き土産で一件落着したが。

カミサンは以前、ガレージの前でファミリーを見かけている。隣の空き地の朽ちた
プレハブ小屋に住んでいるらしい。屋根裏に住みつかれて、フンをされたり、子を
産んだりした話も聞くが、我が家は何とか水際で撃退している。イノシシ、サルは
珍しくないし、狭川地区内ではシカの食害も出はじめた。若者は出て行き人間は
減る一方で、有害動物だけが増え続ける。自然は豊かだけど、悩みも多いです。

 

『梅ケ谷ゴミ屋敷の憂欝』は、面白かった。(篆刻:憂)

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『梅ケ谷ゴミ屋敷の憂鬱』はホラーサスペンス大賞特別賞を受賞したミステリー
作家・牧村泉の4冊目の本だが、帯には蛍光ピンクで「愉快爽快エンタメ!」と
ある。主人公・珠希は東京から大阪の夫の実家に同居することになったのだが、
その鉄筋2階建ての大きな家は粗大ゴミ置き場のよう。ゴミの種類はご想像に
任せるが、無数のゴミに負けじとガラクタのような人間が次々に湧いて出てくる。

その人間関係のもつれの主な原因は珠希が不倫によって離婚させた夫と元妻、
その娘。筆の向くまま登場させたような、とっ散らかった人間たちが後半になって
もつれた糸をほどき、切れた糸を結ぶように整然とつながりだす。読みはじめは
ミステリーよりこのジャンルの方がいいかもと気楽だったが、中盤は人間関係の
複雑さにうんざり気味に、後半で「愉快爽快エンタメ!」をひっくり返されて、これは
ミステリーではないかと舌を巻いた。おまけに東京から来た珠希の母が姑と会って
すぐ血走った目で逃げ帰った理由は、謎のままで残してあるという周到さなのだ。

先の芥川賞『異種婚姻譚』も夫婦の葛藤を描いたもので、夫婦はだんだん似て
くるというよくある話をもったいぶって書き連ね、最後は夫が山芍薬になってしまう。
「譚」に名を借りた安直さでも芥川賞だという、それの方がよほど憂欝ではないか。

※篆刻「憂」は、頭に喪章の麻ひもを巻いて愁える人の形。

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