鋳造印のつくり方。
◎鋳物体験…「古印をつくろう」 参加レポート
①鋳型(印面)の制作
鋳型は、印面と持ち手のふたつあります。
まず印面の鋳型を細かな粒子の粘土を
焼いた陶版で作ります。
あらかじめ陶板いっぱいに太い線が
スタンプで押されていますが、
それが持ち手の部分の鋳型の位置で、
印の枠や文字はその内側になります。
枠は有っても無くてもいいのですが、
今回は初めてなので枠有にしました。
枠と印の文字を鉛筆で下書きします。
印面を彫る石の篆刻とは違って、
鋳物の印では逆文字にはしません。
彫る道具は、
鉄の尖った太い針のような物で
滑り止めの紐が巻いてあります。
まず、枠から彫ります。
彫った部分に錫(すず)が流し込まれて、
凸の文字になるので、
針で何回もゆっくり丁寧にこすって、
深さと幅を出します。
これでいいか先生に見ていただいたら、
まだまだ浅いと
手を加えていただきました。
印面の鋳型は、これで完成です。
②鋳造(印の鋳物)
陶板の上に、持ち手の鋳型を載せて、
ネジで締めて密着させます。
持ち手の鋳型は耐熱性のシリコンで、
何枚か重なっていて、
一番上の楕円の穴から錫を流し込みます。
コンロの鍋には錫が融けています。
これをお玉ですくい自分で流しますが、
危険なので先生が手を添えてくれます。
錫の入ったお玉を金具に乗せて、
安定させてから錫を一気に流し、
あふれる寸前で止めます。
ネジをはずすと、
印面の陶板はすぐ外れますが、
シリコンの中はまだ熱く、
密着しているので、穴から押し出して、
水につけて冷やします。
鋳型を外して、出来たばかりの印ですが、
印面の鋳型である文字の彫りの深さが
均一でないので、
文字の山には高低差があります。
サンドペーパー(180番)で、
手前から向こうへ押して、高い山を削り、
低い山にも印肉が当たるまで、
均一にします。
高い山の線は何回か削られて太くなり、
低い山はまだ細いままですが、
その太さの強弱が石の篆刻にない
「意外性のある味」になります。
これで鋳物の古印が完成です。
この「鋳物体験…「古印をつくろう」は、2020年10月3日、京都の泉屋博古館で開催されたワークショップの参加レポートです。
講師は、福岡県「芦屋釜の里」の樋口陽介氏、新郷英弘氏と泉屋博古館の方々。楽しく貴重な体験をさせていただきました。
ありがとうございました。