
明けましてお芽出とうございます。年の初めだから、このブログ本来の篆刻の話を。
篆刻通販のHPからの注文のひとつがクリスマス・プレゼントに「哲」の篆刻をという
もの。いままでにも「哲」は彫っているが、いつものように改めて『字統』を読み返すと。
当用漢字の「折+口」になったのは、中国で文字が篆書体として統一されてからで、
元の文字は金文という青銅器に鋳られた文字で、「神殿の階段+聖器の斧+心」だ。
贈る先様は執筆業なので絵画的にとのご希望だったから、当然「心」をポイントにした。
出来上がって贈り主に送ったら「口が心になっているが」という反応。説明もしたが、
結局篆刻を送り、字源を説明した私のメールも送って先様の感想を聞こうということに
なった。さて、その結果は。贈り主へのお礼のメールには、『この篆刻をこれからの私の
旗印としたいと思います。』とあり、私宛のメールでは『見事な篆刻をお作りいただき
ありがとうございました。手に持った時の重み、質感、見た目の石の色の美しさ、また
押したときの印象など、すべてに気品を感じる作品と感銘を受けました。また「哲」の
書体の資料と解説をいただき、ありがとうございました。元来は「心」であること、それが
清明な心を意味することを初めて知りました。その原義を大事に使いたいと存じます』
一件落着だが、今後は字源優先か、読める書体にするかを確認せねば、と反省もした。