「篆刻:久乃(12ミリ角)」 ずいぶん久しぶりの「篆刻の常識を見直す講座」だから「久乃」なのではないけれど。書道をされている娘さんへ、お母さんから落款印二顆(か・篆刻の数)セットのプレゼントのご依頼だった。作品に署名…
篆刻の常識を見直す講座
10:甲骨文を知らなかった篆刻家たち。
「写真:亀甲(部分)」 今回は篆書体の話ですが、中国の篆刻家にも関わることなので興味のない方はスルーしてください。 さて、写真は亀の腹甲に刻まれた文字で、3200年ほど前、古代中国・殷の王が天の啓示を占った記録。牛の肩…
9:近藤正臣さんへの、新「正臣」。
「正臣(20×20ミリ)」 油絵は気に入るまで何度でも塗り重ねられるそうだが、ほとんどの創作はどこかで踏ん切りをつけて作品として仕上げなければならない。篆刻のデザインをして彫らずに翌日見直せば、きっとどこかを…
8:本来、法など無い。
「本来無法(40×40ミリ)」 正月気分も抜けたから、「いわゆる篆刻」への憎まれ口を再開しよう。この篆刻「本来無法」は、アートとしての書を目指した井上有一の遺偈「貧を守って揮毫する 六十七の霜 端的を知らんと…
7:天皇御璽は、端正です。
「天皇御璽(90×90ミリ)」 この21日、伊吹衆院議長が解散詔書の「衆議院を解散する。御名・・・」と読んだところで「万歳!」が叫ばれて、続く「御璽(ぎょじ)」が言えなかった。この詔書に押されていただろう御璽…
6:これが、横書き用の名前の篆刻。
「敬志(20×20ミリを拡大)」 最近はさすがに見ないが、トラックの荷台に書かれた社名が左側は「〇△運送」なのに右側が「送運△〇」となっているのがあった。車は走るものだから社名も車の頭の方から書く、とでも思い…
5:赤勝て、白勝て。
「緩急(45?45ミリ)」 中国の篆刻作家は、あまり赤い印泥を使わない。国中に赤が氾濫しているのに、こと篆刻となると赤なんて子どもっぽいとか言って、茶、褐色を使う。日本では、やはり赤系が主流で、私も朱がかった「光明」か…
4:四角四面を、跳び出して。
「クウ、ネル、アソブ(45×45、15×15ミリ)」 篆刻では「方寸の世界に遊ぶ」という言葉があります。実際に彫るのは一寸(約3センチ)四方の小さな石だとしても、そこを自分の世界、いやおのれの宇宙…
3:お行儀ばかりが、良くっても。
「拈華微笑(50×50ミリ)」 お盆には少し早いけれど、篆刻は「拈華微笑(ねんげみしょう)」。釈迦が霊鷲山(りょうじゅせん)で説法した時、蓮の花を聴衆に拈(つま)んで示したら摩訶迦葉(まかかしょう)だけがそ…
2:使えるものは、何でも使う。
「空(40×40ミリ)」 これまで「空(くう)=穴+工」は何回も彫ったけれど、ウ冠の下の八がパンダの目のようになる。パンダだと思うとその下の「工」まで口に見えてくる。やっとパンダじゃないかなと思えたのが、こ…