4:四角四面を、跳び出して。

2014820114413.gif「クウ、ネル、アソブ(45×45、15×15ミリ)」
篆刻では「方寸の世界に遊ぶ」という言葉があります。実際に彫るのは一寸(約3センチ)四方の小さな石だとしても、そこを自分の世界、いやおのれの宇宙と見立てて大いに遊ぶべし、ということ。要するに小さく固まらず、縦横無尽、天衣無縫にやろうじゃないか、ですね。

以前の三游会で、若い女性から「好きな言葉は、食う・寝る・遊ぶなんですけど、篆刻にしてくれませんか」というお話があった。面白いですね、やってみましょう、とお受けして、さ~てと考えた。漢字の「食・寝・遊」も無いことはないが、娯楽系サークルのモットーみたい。ならばカタカナで、となるのだが、そこから先の工夫が欲しい。

いま思えば、遊ぶ→ゲーム→ジグソーパズルと連想したんでしょうね。右からクウ、ネル、アソブを並べて、それが読める範囲の場所に、ジグソーのピースふたつがはまるようにした。ふたつのピースは別の石で彫ったから、押すときに離したり近づけたりできる。カタカナの太さに強弱をつけたのは、同じ太さにすると線が単純化されて読みにくいから。

わざわざ読みにくくしておきながら、それでも読みやすさに配慮するのだから、ややこしいけれど。これぞ、遊びの楽しさです。私は篆刻で言葉を彫って暮らしを彩るアートにしたいけれど、アートこそココロとアタマの遊びです。今日、私は70ちょっと手前の誕生日ですが、ホントに人生は「クウ・ネル・アソブ」がよろしいようで。

 

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