きのう、個展のために頼んでいた掛軸が京都から届いた。出来上がりは実によく、
満足。小品18点も額装が済んだ。それ以外は裏打ちに出し、額の注文も終えた。
あとの残りは、現在追い込みにかかっている『4千年を遊ぶ。』という作品。
「遊(游)」の文字ばかり、漢字の原型・甲骨文、金文からはじまって、現在の
楽篆堂流までを18ミリ角で制作する。現在61点だが、あと10点は増やしたい。
白川静先生の『字統』によれば、遊・游の元は「斿」で、氏族の旗(吹流し)を立て、
国外に旅すること。その後、遊や游に分岐したが、自在に行動し、移動するのが
遊で、もとは神霊の遊行に用いた語。遊びとは、人間的なものを超える状態なのだ。
今回の篆刻「遊・游」は、前半は規定問題として篆刻界の先達たちの模刻をしたし、
中国・日本の書の達人の筆跡をなぞって彫ったりもしたのだが。いよいよ後半に
なればフリー演技で、楽篆堂のオリジナルをあれこれと工夫する段階になる。
55点を越えたあたりから、篆刻の神様が頭の周りを飛び回って、あれもあるぞ、
これもあるぞと囁きはじめる。遊という文字が、石のなかで文字通り遊びはじめる。
そんな状態が、ここ数日続いて、まさに「遊を遊ぶ」ことを満喫しているのだが。
きょうは3月4日。死んだ息子「遊」の38回目の誕生日でもある。
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4千年を、遊ぶ。(篆刻:游)
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