出過ぎる、芽。(篆刻:芽)

芽
我が敷地沿いに、水路がある。25センチほどのU字溝で、水利組合の管理下だが、 砂がたまれば、私が横のコンクリートに上げることもある。そのわずかな砂の上に、 冬から放射状に草の葉が広がっていた。これが春になって急に背を伸ばし、 1メートルを越えるほどになった。そして最近、無数の黄色い花を咲かせた。 お客のためにわざわざ入り口に植えたのか、と言う人もいるが、とんでもない。 調べてみれば、それはビロードモウズイカという地中海沿岸が原産の帰化植物。 たしかに体全体がビロード状の毛で覆われている。他の植物が進出する前の 荒地に生える、いわばフロンティアなのだそうだ。しかも、この花(草?)は、 切られても切られても茎を伸ばす力が旺盛。うかつに茎を途中で切れば、 かえって側芽と花の数が増えてしまうから、手をこまねいて放置するしかない。 これは「頂芽優勢」というメカニズムで、頂芽から分泌されるオーキシンという 植物ホルモンによるもの。この頂芽優勢をはじめ、目から鱗の話が次々続くのが 『植物の生存戦略』という本で、副題は「じっとしているという知恵に学ぶ」。 そういえば、我がSOHOもじっとしている知恵、のはずなのだが。芽が出るのか 出ないのか、伸びるのか伸びないのか。篆刻は、なにやら重たそうな「芽」。
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