豆で、豊かに。(篆刻:豊)

豊
5月の半ば過ぎだから遅かったが、枝豆の種を蒔いた。種の袋には、 「ひとつの穴に3~5粒を」と書いてあった。本葉になってから間引きするのだが。 間引きするなら、最初から1粒でいいのではないか。まあ、すべての種が 発芽するとも限らないから、保険かなと思っていたが。「種は2粒蒔く。 2粒の方が発芽も育ちもいい。」という話を読んで、目が点、いや粒になった。 日経「春秋」欄が紹介する、宮川ひろ子さんという児童文学作家のエッセーでは。 2本の豆は「仲良く支えあい、あるときは競いあって成長してくれる」という。 山形の豆生産者の話というが。隣あった2本が日照を求めて、結果的に競い合う ことになるのは分かるとしても、豆の発芽までがよくなるとは不思議。 来年は、1粒、2粒、3~5粒を蒔き分けて、発芽と成長を比較してみようか。 それにつけても、枝豆は自分の畑のものに限る。枝豆は湯が沸いてから 採りにいけ、というくらいだから。採りたて茹でたての、あの甘さを知ったら、 他府県産など論外、中国産には枝豆の名さえ許すまじ、と思うほどなのだが。 篆刻は「豊」。この漢字にある豆は、足の長い器で、それに穀物などを盛る形。 まだ小さく薄い我が家の枝豆、食べる日を待つ時間までもが、豊かなのだ。
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