三游会が終わって間もない4月4日は、横浜で母の一周忌だった。
大正2年に、埼玉県、いまの深谷市の農家に生まれて、横浜に女中奉公に出た。
ご主人は貿易商、奥さんはお琴の先生で、娘同様に可愛がっていただいた。
敷地400坪のお屋敷には、水洗トイレ、掃除機、ガスレンジがあり、クリスマスには
元町で買った七面鳥がご馳走だったという。横浜・関内の家具屋に嫁いだ。
そこから戦中、戦後の苦労話がはじまるのだが、それでも4人の子供を育てて、
最後は仙台の長男の元で、94歳で亡くなった。父が横浜で先に亡くなったので、
墓は横浜にある。法要、墓参りの後、兄弟姉妹の4夫婦で、横浜みなとみらいの
万葉倶楽部なる温泉に泊まった。宴会の部屋のカラオケ画面に星座占いが流れる
のだが、私と妹の獅子座は「墓参り、親孝行は、大吉」と出て、びっくりした。
子供の中で私がいつまでたっても心配だったようだ。公務員なら安心だったらしいが、
その正反対の自由業もどき。親孝行したい時には親は無し、の典型なのだけれど。
仙台での葬式は、桜が満開。今年の法事のお寺も墓地も、満開の桜。明日の命日、
我が家の桜も満開。桜の時期に兄弟姉妹が集まるように、その時期に旅出の日を
決めたのは、母の最後の思いやりではなかったかと、思う。篆刻は、「母心」。
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母の、心。(篆刻:母心)
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