春の、生命。(額:天の会)

燕&看板 裏の溝で、カエルが求愛の声をあげはじめた。メダカの1匹の腹が横にふくれ、 卵を抱えたのが分かる。前の庭では、熊蜂がホバリングをしている。ツバメも、 縁側の去年の巣を物色している。春の生命が、確かに動き始めている。 先日の夕方、ツバメが縁側に面した部屋のガラス戸にぶつかってバタついていた。 玄関の戸を大きく開けたから、出て行ったと思ったのだが。夜、まだ家の中にいて、 壁にしがみついている。猫にやられてはと、虫捕り網で捕ろうとしたが、逃げ回って 天井と壁の隙間に入り込んだ。脚立に乗って手を伸ばしたら、難なく捕まえられた。 鼻先でも打ったのか、ぐったりして、目も閉じかけている。こりゃ、まずい。 「ツバメの巣に置いて、駄目なら寿命、元気になったらメッケもの」という、カミサンの 案にのった。何度か、懐中電灯で見れば、そのたびに目の輝きが増して、翌朝には 飛び立っていた。そのツバメかどうかは分からないが、縁側の内側の壁に篆刻教室 「天の会」の看板を掛けたら、さっそくツバメがとまりに来た。これって、吉兆かな。 いよいよ井手に水が通って、田んぼに水が入り始めた。縁側のツバメの巣には つがいが入って、田の濡れた土を運んでの巣づくりがはじまった。染井吉野は はらはらと散ってしまったが、山は新しい生命を宿して、静かに笑っている。
ページ上部へ