私は、職人か。(篆刻:職)

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私の祖父は横浜・関内の洋家具職人。父は店舗のショーケースなどを作ったが
木工職人ではある。私は横浜生まれの三代目で浜っこだが、職人なのかどうか。

たまたま読み直した永六輔の『職人』(1996年、岩波新書)は、職人たちの名言、
迷言を紹介していて、どれもが言い得て妙だ。「職人気質(かたぎ)という言葉は
ありますが、芸術家気質というのはありません。あるとすれば、芸術家気取り
です」 「褒められたい、認められたい、そう思い始めたら、仕事がどこか嘘になり
ます」 「自分の評判なんて気にするんじゃない! 気にしたからって、何の得も
ない」 「嬉しそうにマスコミのインタビューを受けている職人は職人じゃありません。
職人は自分の仕事以外で気をつかわないものです」 「健康に気をつかってる
やつに、いい仕事はできません」 「プロとアマチュアの違いですか・・・アマチュアは
失敗をごまかせません」 「メシ喰う暇があったり、ウンコする暇があったら忙しい
なんて言うもんじゃねェ」 「職人で、自分で仕事の質を落とすってことは考えられ
ません。世間や客が質を落とせって言う場合が多いです」 面白いけど、笑えない。

さて、私は職人か。展覧会の作品は別だが、お名前などの注文篆刻では、希望を
充分に聞いて形で返したい。作風や流儀を押付ける作家ではなく、職人でありたい。

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