昨年の春、母が亡くなったので、毎年29日恒例の餅つきは無し。餅つきの
ない年末は、こんなにゆっくりかと思いつつ読んだ本が、アンリ・バルビュスの
『地獄』。開高健大兄のお薦めだが、暗く、やりきれない。正月2日に読んだのは、
白川静先生の『狂字論』。2008年は地獄で暮れて、2009年は狂で始まった。
テレビの正月馬鹿騒ぎ番組の間のニュースでは、日比谷公園の年越し派遣村。
終戦後、私たち家族6人は横浜の小さな借家にいたが、玄関の3畳間には
行き場のないOさん家族4人が身を寄せていたという。「ウチにおいでよ」と
言ってあげる人はいないのか。「泊めてよ」と言える友は、いないのか。日本人の
心は、そこまで貧しくなったのか。そんなことを考えていたら、このブログで何を
書いたらいいのかが、判らなくなってしまった。さあ、気を取り直して書こう。
石川九楊『失われた書を求めて』には、「人類は、いまだ・・・国家と神を主語とする
言葉しか持ち得ていない三歳児である。」とある。世界は、まだまだこれからなのだ。
吉田脩二先生の『ヒトとサルのあいだ』も、「人類の歴史はまだまだ新しく展開される
可能性を秘めているかもしれないのです。」で終わる。篆刻は「望」。大きな目を
上げて先を仰ぎ見る形。後に月を加えて、十五夜の望となった。月は、また満ちる。
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夢は、希望は。(篆刻:望)
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