遊んで、よかった。(篆刻額:游心)

2016728172845.gif 額縁作家・太田實さんとのコラボ展「居心地のいい言葉たち。」が終わった。額に 入れマンションの白い壁にも合うように。そんな新しい篆刻を目指してきたのが、 間違いではなかった。イタリアでマイスターの称号を受けた太田さんの個性に 押されながらも、この篆刻にはこの額しか似合わないのでは、と感じるほどだ。 マットをぎりぎりまで狭くすると、篆刻が前に出てくる効果があるのも勉強できた。 江戸時代からの御用印判司「鮟鱇屈」を継がれる篆刻家・水野恵先生のお弟子さん も何人か見にきてくださり、好印象を持っていただいたようでうれしかったのだが。 最終日にはその水野先生ご自身が、傘とステッキを手にわざわざお越しくださった。 「水野先生のように確たる作風は無いのですが・・・」「どれにも共通した個性が出て いますよ」と、この楽篆堂を篆刻人の端くれには置いてくださったようで、恐縮至極。 と、そこへ梅原猛先生ご夫妻がお越しになった。昼を食べに行った近所の店で偶然 隣になった。私が私淑する白川静先生との対談集『呪の思想』も読んでいるので、 思わずお誘いしたのだが。本当に来てくださったばかりか、「篆刻はたくさんある けれど、こういう面白いのは無いので、まず【猛】を彫ってください」に、またまた恐縮。 私が篆刻で遊ぶ、誰かがそれをよろこんでくれる、そんな幸せを感じた6日間だった。
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