リサイクルという、妄想。(篆刻:莫妄想)

莫妄想
PETボトルを手にした男の子の写真に、「お父さんが着るんだね。」というコピー。 10年以上も前に私がつくった、PET再生繊維の新聞広告。小さな賞をもらったが、 さてPETボトルが繊維になる量は、大きいのか小さいのか。2005年は、6万4千トン。 PETボトルの生産量が53万2千トン。再商品化した量は、14万3千トンだから、 10本のうち約2.7本が何かに再生され、繊維になるのは1本ちょっと。これ、大きい? PETボトルリサイクル推進協議会のホームページは、リサイクル状況の説明には、 回収率65.6%しかあげていない。リサイクルの説明が、すべて収集、回収の話に すり替わっている。再生PETの用途と量の統計で14万3千トンの数字はあるが、 再商品化率はない。普通ならリサイクル率は再商品化の割合のはずだけど。 都合のいい数字ばかりで、実情を正直に伝えようとしていない、と思われないか。 リサイクルという考え方は良い。だが、完全リサイクル社会になったら、と想像しよう。 どんどん買って、次から次に捨てないと、社会も経済も廻らない。実際PETボトルは、 リサイクルの優等生とされて、生産量は10年で3倍になった。3倍石油を消費して、 省資源に逆行したのは、事実。篆刻は、「莫(まく)妄想」で、妄想するなかれ。 完全リサイクル社会は、回収業者以外にとって妄想であることは間違いない。
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