からみ合う、忍冬。(篆刻:忍冬)

忍冬
我が家の裏手、上の畑に通じる坂の横には、2本の大木があった。 1本は檜。直径30センチもあったが、もし倒れたら家が下敷きになってしまう。 製材所の友人に切って欲しいと頼んだら、よろこんで来てくれた。盛り塩をして、 何やら祈ってから、隣の空き地に倒した。だが、切り口には大きな空洞があって、 材木にはならない。友人はくたびれ損だったが、我が家は安全を丸儲けした。 もう1本は、桐。こちらは根元の穴が見えていて、そこに蜜蜂が巣をつくった。 それを狙ってスズメバチが来る。そいつがカミサンを目の敵にする。市役所に 頼んだら、養蜂のプロが来て、蜂を殺し、多少の蜜も頂いてから、切った。 残った雑木も切りたいが、家の目隠しはいる。そうだ、あちこちに生えるニンドウ、 サネカズラ、アケビ、ムベなど、つるばかりを集めて生垣にしよう、と思った。 篆刻は、「忍冬」。冬でも葉を残して忍び、この季節に香りのいい花を咲かせる。 別名スイカズラは、よく水を吸うからとも、花の付け根の蜜を吸うから、ともいう。 白い花が黄変して、白と黄が並んで咲くので金銀花の名もある。篆刻は、 からむ姿を形にした。生垣も、金網は簡単だが無粋、竹や木は苦労しても、腐る。 手間とコスト、耐久性がからみ答が出ない。まあ、悩む時間が花なのですね。
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