プロの、ちから。(篆刻:自力)

自力 20代の後半、特に理由もなく、坊主頭にした。社長が、クライアントに私を 紹介するたびに、頭を指差して「こうしてアンテナを尖らせていますから」と言った。 そう言われれば、感度が良くなったような気もしたが、もちろんただの錯覚。 以来、気分転換でたまに長髪にしたけれど、ほとんどは坊主がすこし伸びた くらいで通してきた。いまでは息子も孫も、男3代が、こんな頭をしている。 この前、大阪の理髪店で50歳前後の店員に「五分刈りぐらいで」と頼んだら、 「五分って、何ミリですか」と聞かれて驚いた。北京五輪の野球が惨敗で、 ダルビッシュ、川崎に続いてG.G佐藤までが坊主になった。五分か、一分かは 知らないが、どうせ頭を丸めて詫びるならば、ツルツルにしなくちゃいけない。 しかも、それで済むなら、星野監督以下コーチ陣が、まず坊主になるべきだろう。 真のリーダーなら、坊主などやめろ、全力を尽くしたと胸を張れと、さとすべきだ。 まぁ、ストライクゾーンをまだ言っているようじゃ、無理だけど。篆刻は、先日の 「他力」と対の「自力」。玄侑宗久さんは、「言葉で理解できる範囲のこと」と約すが。 自らの力を尽くす。自分の力だけではどうしようもないことがあるのを認める。 そして、結果を素直に受け入れる。それが、プロ。5ツ星ホテルなんて、まだ早い。
ページ上部へ