屈して、伸びるか?(篆刻:屈屈伸)

屈屈伸 日経朝刊「私の履歴書」、今月は三菱重工業相談役の西岡喬氏。彼が大学を 卒業したのは昭和34年で、大学の先生が顧問を務めている新三菱重工業を 道すがら訪ねたら、先生はその場で人事部長を呼び、就職内定したのだという。 私の大学卒業は10年後。久保田宣伝研究所(現・宣伝会議)のコピーライター 講座で講師だった大学の広告研究会の先輩、金内一郎さんに挨拶したら、お茶を ご馳走になった。数日後、「うちの会社(エージー)に来ませんか」と電話があった。 喫茶店での雑談が事実上の面接試験。筆記試験は無く、履歴書も出していない。 すべてが右肩上がりの時代だったと思っていたが、実際はそうではなかったらしい。 昨夜のNHKスペシャルでは、現在日本の借金862兆円、国民一人当たり700万円。 麻薬のような赤字国債は、昭和40年に始まっていた。バブル崩壊後の就職氷河期 再来で、2010年の大卒の就職率は6割程度だという。NHKは歴代の大蔵官僚の 退職後の「口述資料」をもとにインタビューしていたが、途中で日本シリーズに変えた。 官僚だけが悪いのではなく、私をふくむ国民がそれを許してしまったやりきれなさで、 野球というドラマに逃避した。篆刻は、19日からの三游会出品のひとつ。無頼の棋士 藤沢秀行の言葉「屈屈伸」。日本が屈して屈して、その後に伸びる可能性はあるか。
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