若きコピーライターの、望み。(篆刻:望)

望
梅雨の終わりかけの大雨続き。歳の順で町会長の私は、ここ数日忙しかった。 崖が崩れた、崖から石が落ちた、倒木が道をふさいだ・・・と電話がかかってくる。 県や市に連絡する。現場に立ち会う。復旧を見届ける。関係者に連絡する。 仕事場が大阪だったら厄介なことだが、自由のきくSOHOでよかった、と思う。 半広告、半篆刻に加えての町会長のお役目は、来年3月いっぱいまで続く。 コピーライターになりたての頃、西尾忠久氏の著書「すばらしいコピーライター」で、 ハワード・ゴーセージというアメリカ人を知った。アイパッチのモデルで有名な ハサウェイ・シャツのコピーを書き、全米「紙」飛行機協会の広告をボランティアで 続けていた。髪はシルバーグレー、シブイ年配。ああ、カッコいいなあ、と思ったのは 風貌以上に、仕事場がローカル都市の郊外、それも消防署の2階だということ。 いま私は、奈良の山里に住みながらも、なお現役として上場企業の広告を続けさせて いただいている。私を頼りにしてくれる担当の方、協力してくれる大阪のデザイン会社、 そして少し重い画像だと何分もかかるISDNのおかげだ。篆刻は「望」。 彫金家井手望氏の注文印からお借りするが、大きな目で、先方を仰ぎ見る人の姿。 消防署ならぬ古農家だが、このワークスタイルは、若い日から望み続けたものだった。
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