パイプ、漏れる。(篆刻:管)

管 離れに行く土間に、また猫がおしっこをたっぷりした。と思ったのだが、ほとんど 匂わないから猫ではないらしい。時間がたつと、固いはずの三和土(たたき)の土が ゆるくなっている。掘ってみれば、塩ビのパイプから、わずかに水がしみ出していた。 幸い有り合わせの塩ビパイプと継手をかき集めれば、つなぎ直せる。山の水を貯めて ポンプで送っている配管だから。ポンプの電源を抜き、いくつかの蛇口から水を出して、 パイプを切りはじめたら、水が勢いよく噴出した。山水ではなく、水道のパイプだった。 急いで元栓を止めて、作業を続けた。直線のパイプを切って、そこに新しいパイプを 入れるには、継手の長さが増えて差し込めないから、直角のエルボーという継手が 4つ必要だ。漏れた所を切って、端にエルボーを付け、エルボー2つでコの字にした ものを差し込めばいい。こうして、ざっと2時間ほどで水道管の水漏れは直ったが。 篆刻の「管」は、竹管の楽器のこと。竹や塩ビのパイプなら大したことはない。原発の 浄水装置の金属の配管も漏れで手間どったが、それも直ったらしい。竹冠なら何とか なるが、これが草冠の「菅」となると、にっちもさっちも行かない。菅はカヤツリグサ科の スゲで、笠や蓑にする。誰が見たってボロボロの破れ笠なのだが、当の本人は梅雨も しのげる、夏の日差しも大丈夫と思っているのか。破れかぶれじゃシャレにもならない。
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