墜ちる、話。(篆刻:墜)

墜 鼻をかんでも、クシャミをしても、トイレで息んでも右の脇が痛む。3日前、1.5Mの 石垣の上から落ちて、コンクリートに腰、肩、肘を強打した。骨折はないようだが、 その夜は右足を踏ん張ると痛くて歩行困難。翌日は肩が痛み、いまは脇なのだ。 家の前の市道添いの水路の草を刈った。水路は農業用水だから水利組合の管轄。 春の田植前、水路の掃除、草刈をしてくれるが、この季節には草丈も伸びて放って おけない。ところが、水は勢いよく流れているから、刈った草が流れていって、ずっと 先で草が詰まり、市道に水があふれ出る。そこで竹のスノコ状のストッパーを水路に 置いて、草を取りながら刈り進むのだが。そのストッパーを次の場所に移そうとして、 足が水路にはまりそうになった。オッと思った瞬間墜落した。痩せても枯れても剣道 三段だから、これくらいで済んだのか。「干し武道」家だから無様に落ちたのか・・・ 草深い田舎に住めば、これしきは驚くこともないが。震災直後の避難所で水が無い、 寒いと訴える人の向こうには木材のガレキの山に雪が積もっていた。ドラム缶を探し たき火をすればいいのに、それで雪を融かせば飲めるし風呂にも入れるのにと思い ながら見た。篆刻は「墜」で、左が神殿の梯子、右が犠牲の犬と手で、神の降り立つ 地のこと。人が墜ちるのは災難だが、雪や雨が墜ちてくるのは神の恵みと考えたい。
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