タイムドメインの、音。(篆刻:音)

音 これは、「音」。神への祝詞を入れた器に、偽れば神罰を受ける意味の辛(針)を 置いて祈る。それに神が感応して自鳴を発することが、音。この音づれが訪れの 語源だが。先日、若いM.K.くんが小さなスピーカーを持って、我が家を訪れた。 私は、オーディオに興味はないし、高音が難聴。パソコンに取込んだCDを安物の スピーカーで聞いているし、篆刻を彫れば音など聞こえなくなるが。いやはや驚愕。 いままで聞いていた音楽は、何だったのだ。これも安物だがCDラジカセの音など プラスチックの箱が振動する雑音の集合だった。テレビの洋画を見れば、まるで 映画館のような臨場感。会話も効果音もすべてがクリア。空間の中に音源がある。 これを書くために、初めてパソコンにつないでビートルズの”アビーロード”を聞いた。 ああ、ジョンは、ポールは、ジョージはこんな想いで歌ってくれていたのか。リンゴは こんなに真面目に叩いてくれていたのか、と初めて知った。目頭が熱くなっていた。 タイムドメインという理論は難しくて解らないが、音の形をそのまま自然に存在させる ことらしい。開発者・由井啓之氏は「1枚のレコードに何億円もする名画以上の感動が 入っている。世界中の人に毎日感動の生活を送っていただきたい。それが願いです」と おっしゃる。私は高音難聴を棚に上げて断言する。「18,900円で、人生が深くなる」と。
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