宿を、借りる。(篆刻:areman)


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早いもので、長男の遊が鈴鹿のバイクレースで亡くなってから、あと4ヶ月ほどで
丸12年になる。バイク仲間でいまだにレースを続けているのは、この前の8耐で
マシントラブル、周回不足で完走にならなかった濱口喜博くんなど数えるほどだが、
私の次男を含めて、バイクへの愛着を持ち続け関連の仕事をしている若者がいる。

与論島出身で、鈴鹿に近い四日市でバイクのマフラー製作をしている市久英くんも
そのひとり。先日、新しいブランドを立ち上げるためのマークとロゴの依頼があった。
ブランド名は「アーマン」で、与論島の方言でヤドカリのことだという。マフラーなどは
素人だから、形が貝のように渦状なのかと聞いたら、親会社に場所を借りているから
という答えで、何とも微笑ましい。一も二もなく引き受けて、ヤドカリのイラストを描き、
AREMANという英文ロゴも提案した。画像は、没になった方のロゴだが。イラストと
決まったロゴの組合せを詰めているところ。さすが南の島育ちの彼らしく、水平線を
デザイン・モチーフに加えたいとの希望が出て、ますます楽しい作業になってきた。

さて、ヤドカリだが。自分の成長に合わせて空の巻貝を探して、それを自分の住居に
する。自分に合った大きさかどうかは、ハサミで測るのだそうだ。人類も、地球上に
たまたま宿を借りるヤドカリに過ぎない。もっと謙虚にならなければ、本当に危ない。

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