「板倉の家」、ガンバレ!(篆刻:板)

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この地区でも新築の家は新工法で街の家と変わらない。やっと木造で伝統工法の
家が建ったと思ったら土壁ではないのだと聞いて、大きなお世話だがガッカリした。

日経新聞が「木の家が優しさを伝える」という安藤邦広さんのコラムを連載していた。
正倉院や伊勢神宮の板倉造りが源流という板倉構法。戦乱の多かった西日本では
土蔵造りが発達したが、東北には残っている。東日本大震災直後、板倉構法で仮設
住宅をと三日三晩徹夜で図面を引き、見積もりを作った。仮設は協定でプレハブと
決まっているがプレハブ業界が量に応じられず、いわき市、会津若松市に約200戸
の板倉構法の仮設が完成。「家に帰ったようだ」と大好評だった。次は復興住宅へ。

ハウスメーカーの家が坪70万円に高騰。板倉構法は坪60万円だが被災者の再建
費用は1,000万円が限界。そこで互助会を作り坪50万円の目標を達成した。活路は
見えたのだが。この構法は普通の家の3倍の木材を使う。運搬、乾燥、棟上げなど
人手が余計かかる。都会のボランティアや大工見習いなど外部の人材が必要になる。
しかも国は新築の家に断熱材など高い省エネ基準を義務づけようとしているらしい。

日本では木材利用こそが省エネなのだし、「里山資本主義」の根幹だ。ヒノキや杉の
山に囲まれたこの地区で、誰かが板倉の家を建てるなら手伝いに飛んでいくのだが。

※篆刻「板」は、木に手で斧を当てる形。

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