若者たちに、「篆刻」を。(篆刻:冓)

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大学は教育学部だったがコピーライターになるためだから、社会科学科を選び、教職
課程もとっていない。それが教育大学で3時間も話をすることになるとは夢にも思わ
なかった。呼んでくださったのは出野文莉(張莉)先生で、ご主人の正さんとともに私の
篆刻に理解を示してくださっている。書道の先生を目指す若者たちが、真面目に美しく
書くことに専念しているので、私の不常識な篆刻で刺激を与えたい、ということらしい。

私の篆刻の話をすればよいということだが、さて「楽篆堂・田中快旺の篆刻」とは何か。
ここまで独学、直感でやってきたが、改めて見直すことになって、とても有り難かった。
HPのイントロでも「彫って楽しい、見ておもしろい、押してうれしい」、「新しくて懐かしい
篆刻を」と書いているが、それを具体的に示さざるを得ない。近々「不常識篆刻講座」
でも説明するが、文字が生まれた時の物語を現代に生かすには、中国の清の時代の
書と篆刻の融合、いわば「運筆的篆刻」を脱却すべきと再認識したのは大きな成果。

若者たちは張莉先生も驚くほど熱心に聞いてくれて、びっしりと書かれた感想文でも
苦手だった篆刻が楽しく身近になったという声が多かった。講の「冓」は白川先生の
『字統』によれば、上下の組み紐をつないだ形だという。講義などとはおこがましいが、
50歳も年の違う若者たちと、篆刻で「知好楽」から「遊」へと共鳴できたのはうれしい。

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