雪餅草の奇跡。(篆刻?:餅)

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少し前の話だが、餅をつく季節だから、まァいいかと、雪餅草の話。ユキモチソウは
仏炎苞と呼ばれるラッパかお姫様の襟のような花を咲かせるけれど、その中心は
2センチほどの真っ白なお餅そっくり。それが今年二つも咲いてよろこんだが。秋に
大きな実がなって驚いた。緑、黄色、オレンジ、赤の粒が密集して、なんとも美しい。

いただいた球根を植えて根付いて咲いたから、難しくもなかったが、ネットで調べると、
相当ややこしい植物らしい。半日陰で、雨風に弱いくせに乾燥を嫌う。分球しないので
種で増えるが、その種は赤い果肉に覆われている。果肉には発芽抑制物質があって、
しかも皮膚がかゆくなる毒があり剥くときは手袋がいる。その種ができるのは、もっと
ややこしい。小さなハエが花の周囲の部屋に閉じ込められる。雄花ではこの部屋に
雄しべから出た花粉が溜まっていて、花粉まみれのハエは穴から脱出するが、雌花
には穴がなく、出られず死ぬ。この中に雄花で花粉をつけて脱出したハエがいる時に
だけ受粉が成立するのだという。しかも、雌雄異株だが、苗ではどちらでもなく、少し
育つと雄株に、充実すると雌株に性転換するらしい。こんなにも複雑な条件をクリア
して、実がなったことは奇跡と言っていいだろう。こんな貴重な実だけど、カミサンが
絵の教室で欲しいという人にあげてしまった。雪餅が行き持ちになった、というお話。

 

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