悲あれば、楽あり。(篆刻:楽)

楽
ほら、やっぱりだ。 どんな悲しいことがあったって、その後に、きっとうれしいこと、楽しいことがあるんだよ。 「人間万事塞翁が馬」。塞翁という人の馬が逃げた。でも、駿馬を連れて帰ってきた。 喜んだ息子が、それに乗ったら落ちて足を折った。おかげで、徴兵されずに長生きした。 「吉凶は糾(あざな)える縄の如し」。いいことも、悪いことも、ちゃんと交互にやってくる。 亡くなったAくんがいたのは、大阪のデザイン会社。そこはプロバイダもしているので、 Aくんには、ネットやパソコンのことで、とてもお世話になった。粘り強く、誠実だった。 デザイナーの長男がいなくなって、私のデザインのほとんどは、そこにお願いしている。 次男がデザイナーになった時も、そこで修行させてもらった。(何と狭い世界・・・) Aくんのことで、その会社もかつての仲間たちも、大きな悲しみに包まれた、と思う。 そして、その会社とつくっている広告が賞を獲った、という連絡。日経産業新聞広告賞、 部門の優秀賞だが、突然の訃報から、まだ1週間もたたないうちの朗報だ。 篆刻は「楽」。神の前で、巫女(みこ)さんが神を楽しませるために舞う、その手にある 柄のついた鈴の象形という。体育の日は、村の神社のお祭りで、町会長として 子供神輿(みこし)の介添えをした。神輿についた鈴の音が、届いたのかもしれない。
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