明日は、白い思い出。(篆刻:明日)

明日
何だか美しからざる話が続いたから、きれいな話に戻したい。 篆刻は「明日」。明の日は、太陽でなく月の光が入る丸窓だけれど、あえて日のカタチ。 日が出て、月が出て、また日が出て「明日」だから。で、話は、昨日の昨日、土曜日の夜。 東京で、大学の同窓会があった。広告研究会というサークル。夏は合宿を兼ねて、 千葉の勝山海岸でキャンプストアをやった。学生だから、海の家の喫茶店版。 内装、モニュメント、チラシ、ポスターなどなどをすべて自作して、販促効果を研究する、 という建て前だったが・・・。我々は1年生で、先輩は怖かった。店は堤のヘリで、 すぐ前が砂浜。潮が引くと水たまりが残って、ゴミが浮く。掃除は、1年坊主の仕事。 上にいる先輩の指示でぬかるみを歩く。と、私のビーチサンダルの鼻緒が抜けた。 目の前に、すっと白いサンダル。「よかったら、履いてください、あした帰りますから」 見上げると、少し歳上らしき女性。しかも、白いビキニ。いや、ビキニでなかったとしても、 セパレーツ、断じてワンピースではない。ありがたくいただくことにしたが、お礼といえば、 店で何か飲んでもらうしかない。彼女が選んだのは、アイスミルク。東芝の先輩から もらってきた、ホワイトレーベルのLPからは、加山雄三の甘ったるい声が聞こえていた。 「あした帰る君と別れのくちづけしよう アロハレイ」
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