それは、メラメラと燃えた。(篆刻:燃)

燃
1月8日は、我が村では「とんど(どんど、左義長とも)」の日だった。 小正月(1月15日)の行事だが、以前は成人の日でもあったから、今年は8日。 正月に神を迎えたしめ縄や門松などを燃やして神を送る火の祭りだ。 持ち寄った竹を縄で組み立て、なぜかワラでタコの足を8本付けて、点火する。 書初めを煙に乗せて、天高く上がれば書道が上達すると、歓声が上がる。 竹とワラがほど良く赤黒いおき火になったところで、竹に刺した丸餅を焼く。 酒を入れた竹筒で燗をして、青竹の盃で飲む。無病息災、家内安全の予感がする。 茂木健一郎さんなど脳科学者によれば、焚き火を囲んで同じ火を見つめることは ジョイントアテンション(共同注意)といって、アイコンタクト(見つめ合う)とともに、 人のコミュニケーションの土台という。とんどが続く間は、村の共同意識もまだ安泰。 朝からのとんどがつつがなく終わって、昼からは新年会になる。 宴会といえば定番はすき焼きだったが、いつか出前の折詰めパックになったのは 時代の流れというべきか。さて、篆刻は「燃」。篆書体は、火偏のない「然」で、 肉月と犬と火だから、もとは犬の肉を焼くこと。犬の肉を食べる習慣のない日本人は ギョッとするし、犬好きの方には怒りがメラメラと燃え上がる漢字なのであります。
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