8年前の、音楽。(篆刻:音楽)

音楽
ちょうど8年前の今日は、日曜日だった。私は、剣道の道場でいつにもなく 気持ちのよい練習をしていた。その時、カミサンが何度も携帯に電話したのだが、 それは防具袋の中で、呼び出し音は聞こえなかった。それではと、館長の自宅に 電話して、やっと話せたのだが。「遊が、鈴鹿のバイクレースで事故を起こした。 すぐ鈴鹿に向かいたい。急いで帰って来て」と、早口でまくしたてる。 着替えて、車を飛ばしたが、45分はかかった。家には、大和郡山にいる 次男夫婦も待っていて、その車で鈴鹿の病院に向かった。病院のロビーでは、 バイク仲間が壁際で泣き崩れていた。医者に会うと、あれこれ説明があったが、 結論は「午前11時ちょうどに、心肺装置をはずした」のだった。重症だろうが、 死ぬなどとは、なぜかまったく思っていなかったので、ただ面食らった。 それからやっと遊に会えたが、顔には傷もなく、苦しそうでもなかったので、 少しほっとした。ロビーに出ると刑事に呼ばれた。大学ノートを手に、深刻な顔。 「決まりなので、誰かに部品を抜かれたとか、狙撃されたとかを調べましたが、 事故に間違いありませんでした」と言ったところで、刑事の携帯が鳴った。 “ルパン ザ サード!!!” 何とも元気ハツラツ、能天気な着メロなのだった。
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