出したり、吸ったり。(篆刻:吐納)

吐納
環境問題という乗りかかった船だから。この家に越してきた時は、湯船はまだ 五右衛門風呂だったという話。焚き口は、薪を燃やすが石油のバーナーも 付いた新(?)型だった。薪は友人の製材所で出る木屑をもらっていたが、 ゴミも燃やす。ゴミにはビニールも混ざっていて、鉄製のバーナーがやられた。 石油の給湯器に代わり、湯船はステンレス、ジェットバスの付録まで付いた。 製材所の木屑だってバイオマス燃料なのに、いまの法律では産業廃棄物扱い。 焼却できないし、処分には費用がかかる。製材所のそばで温室栽培を したくても、石油が必要になる。一方では、食料のはずのトウモロコシから 作ったバイオエタノールが、車の燃料として海を渡ってやってくる。 二酸化炭素を出すが、排出量としてはカウントされない、という方便で。 とにかく言ってることとやってることが、チグハグ、バラバラ過ぎないだろうか。 篆刻は、「吐納」。吐は吐く、納は吸う。広辞苑にはないけれど、道経の修練で、 腹の中の悪い気を吐き出し、新鮮な気を吸い入れる呼吸法。吐くこと吸うことが 循環・連続して、はじめて健康な心身ができるという考え方だと思うが。 あっちで出し、こっちで吸いでは、美しい日本はおろか、環境立国も無理ですよ。
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