田の中の、私。(篆刻:田中)

田中
環境関係の本を何冊か読んだ。その中で、いちばん面白かった本は、 『いちばん大事なこと-養老教授の環境論』だった。何回か、読み返した。 先日の日経新聞の環境特集では、同じような話を「エコの壁を直視しよう」、 「エコの壁を超えよう」と書いておいでだから。この本のタイトルを 『エコの壁』としたらもっと売れたのに、と後悔されているのかもしれない。 養老先生は、人間社会を含んだ自然を、膨大な構成要素が複雑に作用しあう システムという視点でとらえる。ところが、都市は人間の脳がつくった世界で、 複雑を嫌い、単純化を好む。人間も自然であることを忘れて、「ああすれば、 こうなる」と考えたがる。でも、自然はそうはならないし、理解しきれない。 しかし、里山の手入れなど、自然とつきあうことで、理解を深めることはできる。 で、先生の提案は、なんと「参勤交代」。都会の人に、1年に3ヶ月は田舎暮らしを (しかも労働を)強制しようという。「田んぼやあぜ道は、自然や社会のシステムを 理解するために不可欠。それ以外、環境問題の真の解決を思いつかない」と 断言される。でも、そうなったら入れ違いで都会に住むのかな、と私・田中は、 青い田を見ながら考える。「いやだ。1年に3ヶ月も都会に住むなんて、いやだ」
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