ペンタックスに、光を。(篆刻:光)

光(新)
「誰かに持っていただくなら天皇陛下です。置くならダイヤモンドの真ん中に」と、 旭光学の専務は真顔で言った。世界初の完全自動露出一眼レフカメラ、アサヒ ペンタックスESの新発売広告。1971年(昭和46年)、コピー担当の私は、若干25歳。 結局は、天皇陛下でもダイヤモンドでもなく、スチール写真は電子回路のアップ、 テレビCMは天地創造のようなおどろおどろしい設定に落ち着いたのだが。 言うまでもなく、写真の露出は、レンズの絞りとシャッター速度の組合せで決まる。 このESは、撮りたい写真に応じた絞りを選べば、シャッター速度が電子制御で 無段階に変化する画期的なもの。そもそもカメラの中に電子回路が組み込まれる、 それ自体が驚きだった。これこそが、カメラのデジタル化の第一歩だったのだが、 パイオニアが、その後もリーダーであり続けることが出来ないのは、世のならい。 さて、私がいま使っている一眼レフは、現像屋さんの紹介で買ったフィルム・カメラ。 レンズ2本付きで、35,000円。デジタル・コンパクト・カメラは量販店の展示現品限りで 27,000円。どちらもペンタックス。篆刻は、「光」。頭上に光をいただく神職の姿だが。 HOYAのペンタックスへの株式公開買い付けが、いまだに難航。かつての旭光学に 光は無く、頭を抱える状態が続く。でも、私は、ペンタックスが嫌いじゃない。
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