蕾みが、ふくらんだ。(篆刻:蕾)

蕾
蕾(つぼみ)は、草カンムリに雷。その雷に雨がついたのは、ずっと後のことで、 元の字は「田」が上ひとつ下2つの「ライ」。ライは重なる意味だから、棚田から 生まれた文字のようだ。稲光は何本もの線で、文字も田を稲妻でつなぐ形に変化する。 草カンムリをつけて花の蕾としたのも、いっぱい重なるようにつくからでしょうね。 でも、この蕾には田が4つ。3つがあれば、4つもある。太古の人は、おおらかだった。 庭の白梅は散りはじめたが、その根もとに、日本桜草が10本ほど。 どれもまだ葉は小さいけれど、そのうちの1本に、もう白い蕾がふくらんでいた。 そんな庭からの向かいの眺めは、何段もの棚田。その畦のひょろ長いクヌギの木に、 むかし雷が落ちたこともある。と書いたとたんに、春雷が鳴り響いた。本当、ホント。 ウーン、この「棚田、雷、蕾」の三題噺の苦しさに、天もイライラしているらしい。 気をとり直して、棚田です。用水路の掃除、井手上げが終わったから、5月の連休には、 もう田植え。田にはった水に青空が映り、田植え後の田毎の月を見て、黄金の秋まで、 庭の指定席から緑の連続ドラマを堪能する。しかし、それも、もう10から15回ほどかな。 25戸ほどのこの村に、次の代も確実に農家を続けるという家が、1軒もない。 農家あって、田んぼあり。土あって、花あり。蕾がなければ、花も咲かない。
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