品格と、侠気。(篆刻:侠気)

侠気
きのう、「素心」をブログにアップして、さあ昼メシ、と思ったところに、1冊の本が 馬場啓一氏から届いた。こう書房から、この7月10日に発行されたばかりの 著作で、書名は『人間の品格』。まるで、私の「素心」をテレパシーでのぞき見して、 それを言うなら、こういうことでしょう、と急ぎ贈られたのではないかと驚いた。 失礼ながら、食事をしつつ読みはじめて、いっきに読了したのだった。 馬場氏には、『白洲次郎の生き方』(講談社文庫)というヒット作があるが、 その白洲次郎を含む、10人の日本人の生き方、働き方を簡にして明な筆致で 紹介してくれている。「あなたたちの住むこの日本という国は、これでなかなかの 人士を発見できるところなのですよ、と。」 渡邉美樹、岡野雅行、孫正義、稲盛和夫、 緒方貞子、白洲、安岡正篤、池波正太郎、藤沢周平と続き、吉田茂で終わる。 そうか、日本も捨てたものではなかったのだ、と思いかけるが、いやいや、 なおさらに、いまの日本の情けなさを痛感してしまった。篆刻は、「侠気」。 菜根譚で、「人となるには一点の素心」の前にある、「友に交わるには、すべからく 三分の侠気を帯ぶべし」。侠気は、強きをくじき弱きを助ける心だて、おとこ気。 首相が仲間や友達をかばい続けたのは、侠気ではない。品格とは、無縁の話。
ページ上部へ