泥から、華。(篆刻:華)

華
生臭い話が続いたから、気分を変えよう。5月の半ばに、ハスの苗を買った。 苗とはいえ、ハスだから20センチほどのレンコンに、小さな葉が2、3枚。 庭の隅に放置していた睡蓮鉢に田んぼの土を入れて植えたのだが、 これがなかなか育ってくれず、やきもきした。カミサンから、他のホームセンターで 1000円も安かったし、つぼみまであったと聞いたときは、ガックリした。 7月に近くなって、やっと浮き葉より立ち葉が多くなって、ハスらしくはなった。 が、いっこうに花のつぼみが現れない。これこそはつぼみだ、と思っても 伸びたら葉だった、の繰り返し。やっと間違いなくつぼみが、1本出たのだが、 いつまでも水面からちょっと上のまま、伸びない。今年は咲かずに終わるのか。 まあ、お盆用のハスの葉を買わずにすむなら、それでもいいか、と言い聞かせた。 直径60センチの鉢に、直径50センチ、高さ1メートルに近い葉が20枚ほども ひしめく姿は壮観。雨が降れば、それぞれの葉が鹿おどしのように水を溜めては 落とす様子も面白い。その葉の中に、ぐんと伸びたつぼみを発見したのは、 10日ほど前。いまでは葉を追い抜くほどの高さで、ふくよかな丸み、淡い桃色が 官能的でもある。篆刻は、「華」。泥から出た華が開くのは、さあ、いつだろう。
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