歯が痛くても、笑う。(篆刻:笑)

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「咲」のすぐ後に、この「笑」が登場するはずだったのに、段取りが狂った。 木の芽時だからか、ノートパソコンが時々情緒、いや動作不安定になる。 で、生意気にもWEBマートでSOHO向けデスクトップに買い換えたら、 これがワードもエクセルもない丸裸。有料セットアップしたのに、すべて初期化して、 自分でセットアップし直し。笑うに笑えない数日を経て、やっと「笑」になりました。 山が笑う話をしたかったのに、山はとっくに笑い終わって、もう緑一色である。 ここから奈良市内へ出る手前の飯盛山は、その名のままにご飯一杯分の姿。 春日の原生林につらなる雑木の山で、見るたびに表情を変えて楽しいが、 圧巻はこの山が笑う時期。冬に溜め込んだエネルギーのすべてが芽吹きとなり、 金銀のウブ毛が山を包み、陽光を浴び、風にそよぎ、笑いさざめく、ように見える。 この「笑」の額を、奈良の展覧会に出品した。希望があればお譲りするシステムで、 歯医者さんがお求めになった。聞けば、患者さんが座る椅子の前に掛けたいと おっしゃる。字が、笑っているように見えると。虫歯でも、親知らずでも、 シソーノーローでも、入れ歯でも、歯列矯正でも、歯が痛くて泣きベソの 患者さんの前でも、この字は笑い続ける。もうすぐ笑顔になれますよ、と。
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