お忍びで、どちらへ。(篆刻:忍)

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春の珍事とは、こういうことか。 篆刻のホームページを立ち上げてすぐ、Aさんから個人印の注文をいただいた。 ご自分と家族、事務員さんの計5点。春までにはというお約束だったのが、 もう4月も終わろうとして、あわてて村の郵便局から送った。 窓口で重さを量ってもらい、料金を渡した。だから、切手は自分では貼っていない。 翌日には着いただろうが、何の連絡もない。さんざん遅れたくせに気になった。 そして4日目に、それが差出人である私に配達されてきた。 切手と消印がいっしょのシールが、プチプチ封筒の裏側、ベロに×をして、 住所、名前の後に「出」と書いた面に貼ってある。絶句した。すぐ局に行って、 局長に見せたら、彼も絶句した。自ら直接京都まで届けたという。ご苦労さま。 日本郵政公社のスローガン「真っ向サービス」が「真後ろサービス」になった。 シールを貼った人もあんまりだけど、それを仕分けした人も、また配達した人も、 みんな仲良く真後ろを向いている。とても堪忍できる話ではないが、 この篆刻の「忍」は、そこをこらえて、心を丸く、といっている。じゃあ堪忍するとして、 この郵便物が4日もの間、お忍びでどこをほっつき歩いていたのか教えてよ。
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