先より、後。(篆刻:後能応先)

後能応先
先週の土曜日、久しぶりに柳生の正木坂道場に行った。市民だよりで、 柳生公民館の催し「柳生を学ぶ~柳生新陰流とは」を知った。その袋竹刀を、 お世話になった武道具店・柳生堂のおじいさんがご苦労の末に復活した話は 聞いていたし、興味はあったけれど、実際に演武を見る機会がなかった。 早速、応募。講師は、柳生新陰流二蓋笠会(江戸柳生)の方々だった。 かつて剣道の道場で何度かお会いした畑峯博先生は、師範代として最後の 模範演武。時代小説作家で、自ら小転(こまろばし)中伝の多田容子氏の 分かりやすい解説には大いに助けられた。剣道形が覚えられずに苦労した 私は、数々の形の速さに目を見張るだけだったが。その形のほとんどが、 相手を斬り殺さず、理合で動きを止め、制して勝つのには、感動すら覚えた。 篆刻は、「後、よく先に応ず」。ずいぶん昔、剣道の本で見つけて彫ったが、 いまだに剣道の「後の先」や「先の先」が分かってはいない。柳生流には 大いに興味がわいた。練習させていただこうかなあ、とも思いかけるが。 いやいや、一時の興味だけで先走ってはいけない。じっくりと考えて、 その後に決めても遅くはない、と思い直す。それが、いまの私の「後能応先」。
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