頼らず、助け合う。(篆刻:不頼互助)

不頼互助
私が昔、はじめてM電器の広告コピーを書いて、まがりなりにも合格になったのは、 形容詞が少ないからだった。抽象的な形容詞の多用は、読む者を混乱させる。 安倍さんが「美しい国」をスローガンにして、広報のプロが補佐官なのにと 首を傾げたが、案の定腰砕け。で、福田新総理は「自立と共生」。小沢さんは 自分が先に言ったといい、福田さんは「政治家は同じ言葉をよく使う」と、とぼける。 自立は、最近までよく聞かされた「自己責任」を思い出させるが、流行の「共生」を 組み合わせてバランスをとったのだろう。言葉は、誰でも使うから言葉であって、 先だ、後だと言うこと自体がナンセンス。肝心なのは、自立と共生という 相反する目標を、どう実現するかという、具体的な方法、道筋なのだが。 1週間そこそこで、所信表明演説をまとめること自体が無理と、また逃げる。 さて、篆刻は「不頼(ふらい)互助」。20年も前に、息子の中学の先生が バレーボール部員に示した言葉なのだが。いい言葉だと、ずっと記憶に残っていて、 最近やっと形になった。ひとつのボールにみんなで立ち向かう。他を頼っては いけない。同時に、互いに助け合わなければならない。意味は自立と共生に 近いが、「不頼互助」の方が生きている。それを、切ったら血が出る言葉、という。
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