ちょっと、安心。(篆刻:安心)

安心
  大寒の証しにせむと白き朝 下手な俳句もどきだから、解説がいる。昨夜、テレビで金子光晴の番組を 見終わってから、やっと窓の外が白いのに気がついた。そういえば、テレビも 名阪や第二阪奈道路が通行止め、と伝えていた。で、大寒の今朝は、銀世界。 いくら季節が変と言われたって、ここまで律儀にせんでも、という感想。 だが、昼前にはポストへ下りる坂の雪は、もう消えている。ポストの中には、   新しき落款をもて書き始め  味な墨文字の句に私の篆刻がおされたはがきがあった。以前少しお手伝いした 会社の広報の方が定年になって、慰労の会に私も混ぜていただくことになった。 ただ混ぜていただくのも恐縮と、俳号の印をお贈りしたのだったのだが。 ご注文の俳号であれば、色紙か短冊かと、お好みの大きさを聞くけれど、 この際は勝手に6分角の石を選んで、出来は約15ミリ四方に。それが、はがきの 中にいい納まり具合だったので、やっとひと安心。調子に乗って、駄句をひねった という次第。篆刻は、ずいぶん前の「安心」だが。こんな篆刻を彫った昔の自分、 それを引っ張りだした自分。どちらにも心安らかでない自分。大いに寒い。
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