これが篆刻「百野草荘」の元の文字。友だちの木工作家にケヤキの板を
分けてもらって、看板制作にかかった。その堅さに彫刻刀が悲鳴をあげている
ところに、守田さんからの電話。「花をもらいに行っていいですか?」
「どうぞ、どうぞ」 守田さんは、いつものように花入れのガラス瓶を指から
麻紐でぶら下げているが、両の手には何やら角ばった包みがあった。
「これ、どうぞ」 「え、何でしょう・・・」
包みをほどくと、桐箱。ふたには「太郎」の銘。裏には「祝 百野草荘」とある。
「エエッ・・・」 中には、ほっこりとした姿、ほど良い大きさの黒楽の茶碗。
掌で包んで、ためつすがめつ見惚れれば、うっすらと文字が見える。
それは、百、野、草の3文字。「エッ、これ、わざわざ・・・」 「ええ、昨日・・・」
守田さんとは、京都の南、浄瑠璃寺のほとりの吉祥窯・守田蔵(くら)さん。
無釉の黒信楽(しがらき)によって、白洲正子から「貴重な陶工」とたたえられた人。
冬に長く入院して、この春から生きる証しにと『守田蔵 花ごよみ』というブログを
開始。百野草荘の雑木雑草が、その舞台に上げてもらうだけでもうれしいのに。
まな板荘と呼ばれようが、いよいよ看板がないと辻つまが合わなくなった。
※賢明な読者はお気づきでしょうが、銘「太郎」は、「ものぐさ太郎」なのですね。
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- 祝、百野草荘。(篆書:百野草荘)
祝、百野草荘。(篆書:百野草荘)
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